
第4章 市民セクターにおける組織管理
隈本純 1. はじめに
現代社会における社会的行為のそのほとんどが何らかの組織によって担われていると言っても過言ではない。国民はそこで労働を提供し、かわりに財・サービス(公的サービスも含めて、あらゆる組織が送り手となるものすべてを指す)を得て生活を営む、管理とはその組織を周囲の環境に適応させる意思決定過程、あるいはその組織を維持する機能のあらゆる側面を指すのである。本章では、非営利組織の組織管理の原理・原則は営利組織や行政組織のそれとほぼ同様であるという前提のもとに議論を展開する。それは、ヒト、モノ、カネ、情報、技術等の資源をインプットし、組織という特定目的を追求する行為体の内部で加工、処理する過程を経て、何らかのアウトプットを生成するというメカニズムにおいては、いかなる組織も皆同様であるからである。以下、組織を表1のように分類する1)。 表1 組織分類

はじめに、「市民セクターにおける組織管理」を議論するため、市民セクターがどのカテゴリーを指すのかを検討する必要がある。広義にはd、e、f、らを市民セクターとして捉えうるが、本章での事例研究の調査対象も含め、狭義にfの領域に属する組織を分析対象の市民セクターとして捉え、議論を展開する。とはいえ、fの領域の市民セクターであっても、例えば教会や病院、大学、ボランティア団体など、その組織形態は大きく異なる。本章では、非営利活動を営むボランティア組織を選択し、調査することによって市民セクターの研究とする。
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